詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
ポストから手を出すと
家に戻るために
外に出た
二〇一四年十三月十日 「ハンカチの笑劇」
オセロウは
イアーゴウがいなくても
デズデモウナを疑ったのではないか?
さまざまな冒険が
その体験が
オセロウをして想像豊かな
極めて想像豊かな人間にしたはずである
「ハンカチの笑劇」
想像はたやすく妄想に変わる
巣に戻った鳥が
水辺の景色を思い出す
愛によって形成されたものは
愛がなくなれば
なくなってしまうものだ
「なにがしかの痕跡を残しはするのだろうけれど。」
そう言うと
この詩人は自分の言葉の後ろに隠れた
隠れたつもりになった
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