寒波と二日酔い/ただのみきや
 
生者と死者

安全地帯の植え込みで
ラベンダーは身を縮める
風花の中
一株一株寄り添うように

周囲には細く背の高い
雑草が取り巻いている
枯れ果てた骸骨たち
立ったまま風に笑う





頭痛が歩く

冬空が頭蓋に浸みて来る
血の巡りに冷えた金属が混ざり
鈴(りん)の音が吸い込まれた消失点から
戻って再び圏を広げるように
膨れ上がり静寂の内壁を
わたしにだけみしみしと





去った後

歩きなれた橋の下
流れを隠す葦の間から
飛び立つ鷺 刹那の目交い
発見 喪失 そして茫然

書く動機も 書いたも
[次のページ]
戻る   Point(6)