詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
。場所爆弾ともいい、出来事爆弾ともいうシロモノだった。ぼくは居酒屋のテーブルに肘をついて、ジミーちゃんの話に耳を傾けていた。「この喉のところを通る泡っていうのかな。ビールが喉を通って胃に行くときに喉の上に押し上げる泡。この泡のこと、わかる?」「わかるよ。ゲップじゃないんだよね。いや、ゲップかな。まあ、言い方はゲップでよかったと思うんだけど、それが喉を通るってこと、それを感じるってこと。それって大事なんだよね。そういうことに目をとめて、こころをとめておくことができる人生って、すっごい素敵じゃない?」ジミーちゃんがバッグをぼくに預けた。トイレに行くからと言う。ぼくは隣にいる若い男の子の唇の上のまばらな
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