詩の日めくり 二〇一四年九月一日─三十一日/田中宏輔
二人の目のまえにそれを置いたのであった、にんにく炒めというので、にんにくの薄切りを炒めたものでも出てくるのかなと思っていたのだが、出てきたそれもおいしかった。やわらかくて香ばしい白くてかわいいにんにくの身がつるんと、房からつぎつぎと出てきて、二人の口のなかに入っていったのであった。ぼくの横にいた青年は、背は低かったが、なかなかの好青年で、ぼくの身体に自分のお尻の一部をくっつけてくれていて、ときどきそれを意識してしまって、顔を覗いたのだが、知らない顔で、以前に日知庵でオーストラリア人の26才のカメラマンの男の子が、ぼくのひざに自分のひざをぐいぐいと押しつけてきたことを思い起こさせたのだけれど、あとで
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