空論のカップに口を付ける冬の横顔/ただのみきや
首の女
暗い朝の水の肌に
月のように咲いた女の首
伏し目に瞬いて
唇はそっとほころぶ
活けられた死よ
肉体の幽玄
イメージの刺青よ
隔てるものの厚みのなさに
深く映り込む眼差しの
夜の向こう
輪郭も朧な睡蓮の
白い焔のように
素足で侵食する
匂いを描いた一枚の
揺蕩いに二人沈んで
時間?
鍋を弱火にかけて
焦げ付かないように
ちょくちょくかき混ぜる
丹念に渥を掬う
味付けの
タイミングと分量
考えて 気を張って
自信がない
経験も乏しい
いつもとは違い過ぎる
そんな
誰かのために捧げた時間
あ
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