詩の日めくり 二〇一四年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
吉野家」

 仕事帰りに、牛丼の吉野家に入ってカレーライスを食べた。斜め前に後ろ向きにすわって食べてたガチムチの大学生の男の子のジャージがずいぶんと下に位置していて、お尻の割れ目までしっかり見えてた。見てはいけないものかもしれないけれど、3度ほどチラ見してしまった。帰るときに振り返った。かわいかった。かくじつに、ぼくの寿命が3年はのびたな、と思った。たまに思いもしなかった場所で奇跡のような瞬間に出合うと、ほんとに照れてしまう。その体育会系の学生の子が帰ったあとも、めちゃくちゃ恥ずかしくて、頬がほてって、どぼどぼと汗かいてしまった。カレーの辛さじゃなかった。

二〇一四年七月七日 「いろいろ
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