詩の日めくり 二〇一四年七月一日─三十一日/田中宏輔
思ったのは、驚きの表情を見せた直後、その顔が嫌悪の表情に変化したのだけれど、そのとき、その男の子の身体が、ちょっと膨らんで見えたってこと。動物が攻撃や威嚇などをするときに、自分の身体を大きく見せることがあるのだけれど、そういった現象をじかに目にできたってことは、ぼくの経験値が上がったってことかな。あるいは、おびえたぼくのこころが、そういった幻覚を引き起こした可能性もあるのだけれど。しかし、あの男の子、もしかしたら高校生だったかもしれない。二十歳はこえてなかったと思う。白いシャツがよく似合う野球でもしてそうな坊主頭の日に焼けたガタイのいい男の子だった。
二〇一四年七月二日 「托卵」
吉田
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