三色の流星/服部 剛
 
あの日、若くして病に倒れ
この世を去っていった歌姫よ

あなたは姿のない絶望の闇と向き合い 
動悸の乱れる日も
副作用で口の中が傷だらけの日も
死の不安に独り…震える深夜も
最後まで、生きることを求め
歌の道をつらぬいた

いのちの軌跡はいつか星となり
あなたの墓前で手を合わせた、数日後
命日に見上げた夜空に一瞬、光が流れた

今まで見たことのない
赤と、緑と、金色の 三色の流星
愛と、平和と、希望を歌に託した
あなたからのメッセージ

――今年で歌姫が世を去り、十五年

今もあなたが眠る墓の周囲は
色とりどりに微笑む花々が、そよ風に揺れ
墓石に刻まれ
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