僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
 
いつらだ。可哀想な少女は知らない男たちに連れられて行った。最後まで
「私は足掻き続けてやる!」
と言っていた君が忘れられない。


駅に向かう。赤の手を引っ張って。なにも考えてなかった。ただ、この子を可哀想な少女を救いたかった。
「国に帰ろう。」
僕の言葉に君は何と言わず遠くを見つめていた。


彼女は屍肉を貪る野犬のように生きていたのかもしれない。ただ、生きる為に。
汽車の中、静かな音ねが響く。
がたん、ごとん、がたん、ごとん
気づけば、呼吸の音も何も無くなった。どんなに叫んでも、もう彼女には何も見えないし、聞こえないだろう。
瞼に指を当て、眼を閉じさせる。

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