ダイスを転がそうと棒を倒してみようと、それで行く道が決まるわけじゃない/ホロウ・シカエルボク
れど、探し続ければひとつやふたつ、続けていてよかったねと思えるようなものが手に入る、人生ってたぶんそんなものさ、たぶん歳を取ったからって偉そうに語るようなものなんかひとつもありゃしないよ、けれどそれはまだしばらくは続いていくし、なにかしら、興味を引くものは見つかっていくさ、掃き溜めに住んでいたってね…白けていたって衝動がなくなるわけじゃない、現に今も俺はここにいるじゃないか、高く上がった月は色を失くした、誰かが空に狙いをつけている、無意識にそう呟いて吹き出す、下らないフレーズだ、けれど、なにも口にしないことよりはたぶんいいんだろうね、俺は立ち上がり、デニムのあちこちをぱんぱんと叩く、空缶をごみ箱に捨てて、そろそろ眠る真似でもしてみようかなと思う、そうさ、こんな夜は、歩かないよりは歩いてみた方がずっといいんだ、人生ゲームのコマみたいなもんになるよりは、ずっとね。
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