霊感体質の先輩看護婦さん/板谷みきょう
 
は危ないみたいよ
そんなことを
霊感体質の看護婦さんは
口にすることもあったけど
危篤状態の患者がいる時には
死に関する言葉を口にしないことは
暗黙の約束だったりしていたのに

      霊安室で“エンゼルセット”を持って
      死後の処置を任された時には
      遺体と二人きりになり
      線香を焚いた後に
      日中に元気だったことや
      夕食を口にしてた時のこととか
      点滴を抜く時や綿を詰める時にも
      つい話し掛けながら処置をしていた

病棟巡回は
各病棟で行っているのだが
院内で
妙な噂が立っていた
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