死紺亭兄さんへの手紙 /服部 剛
り言う。「Dead or alive」と――。
死紺亭の「死」は「生」につながるクモの糸。
――闇に貼られたクモの巣は一瞬、光を帯びて、
今夜の「ときわ座」の過渡期の時の只中に集う
僕等は、いつのまにか掴まって、眼鏡をかけた
死紺亭柳竹ならぬ死紺亭クモを中心に、なぜか
笑みを浮かべて喰われるのを、待っている。
――というのが今宵の「ときわ座」の夢であり
ます。夢と現は背中合わせでありまして思えば
あれは15年前、大阪で朗読ライブに出演する
私共は、新宿発の深夜バスの待合室で語らい、
兄さんは自分の大事な生い立ちを分かち合って
くれたのでした。 あの頃ずいぶんガンバッ
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