初めての夜に/こたきひろし
 
選ばれる事に挑戦するのは苦手
ずっと子供の頃から何にも選ばれなかったから

のど自慢にたとえるならいっつも鐘一つしか貰えない人
鐘一つと鐘二つの計り知れない差異の大きさを悩みになやんでいた青春

だけどさ
大人になるにつれて発想の転換を試みたんだ
鐘一つの意味する所

けして零点じゃないんだって
もし零点だったら一つだって鳴らさなければいい訳だからさ

そう思う反面
否定してしまう自分もあらわれた

鐘一つはどこまでも零点に近い評価に違いないんだって

だけど結論は迷路に入り込んで出口はいつも見つからなくなってしまうんだ

それは暗黒の夜だった
私は6号国
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