葡萄/
よしおかさくら
恋が始まってしまったから
死の危険を感じるほど鼓動は
刻まれて
まだ足りない
心臓を
優しく撫でてほしい内側から
葡萄を齧る
垂れた汁を舐め取る
電話が掛かったからと
部屋を出てからもう五分も過ぎた
よく冷えた丸みで
挟んであげようと考えて
打ち消す
秘め事は初めからなかったかのように
眠る
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