新盆/ゆるこ
単な風車が風もなく回っている
やがて 群青色の夜が来る前に帰ろう、
蛙のチューニングが始まる中
白いうさぎが飛び跳ねながら 茶畑走る中を
かけてゆく
・
段々になった畑の傍らに
ひっそりとお骨が埋まっている
墓石のないそこには
最後まで憐まれられた
ぼろぼろの母の遺骨が埋まっている
可哀想な母の
ながいエンドロールで嗅いでいた
いつでも思い出せる死臭すら
愛しく思えるほど
今
私の魂はそこに行きたい
行きたくて 行きたくて 堪らない
蒸し暑い、蚯蚓の姿は見えない道で
そっと 誰にも聞こえないようにこぼす
たちまち喧騒がかき消してゆく
青いイルミネーションは
医療従事者への敬意で輝いている
誰も迎えられない今年
悲しく 流れてゆく
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