踊ろう、マジな月の下で/ホロウ・シカエルボク
 
した
そして牛肉をカゴに出して
きちんと金を出して店を出て行った
俺はなぜかホッとして自分の買物をすませ
店を出たところでさっきの女につかまった
しばらくの間
女は黙って俺のあとをついてきた
そいつがなんでそんなことをしているのか
俺にはなんとなく想像がついた
だから
わざと人気のない通りを選んだ
そして
潰れたビルの1階の駐車場で休憩する振りをした
女はゆっくりと近付いて来た
「ねえ」「さっきのこと黙っててよ」
「心配ない、誰にも言ってない」俺は女を見ずに答えた
「お願いだから」声が震えていた
奇妙だった、俺は女を見た
本当に怯えているようだった
「なんでも
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