海鳴り/羽衣なつの
さわしい、永遠の痛みと辱めをお与えください。
美しい青年の神さまは、やさしい微笑を浮かべながら、わたしをかるがると持ち上げ、わたしの両脚をおおきくひろげて、したたるほどに濡れたそれを、丘の下の男たちに示す。男たちはうめき声をあげ、のたうち回る。神さまの男根がわたしを一気につらぬく。わたしは歓喜の痛みにむせび泣く。わたしは今、地上の誰よりも美しい。
神さまは、わたしから男根を引き抜くと、丘のふもとの男たちに、わたしを投げ与える。無数の手が、口が、男根が、美しいわたしを奪い合い、辱め、穢す。男たちの精が尽き、ひとりのこらず息絶えるまで、わたしは歓喜にむせび泣きつづける。
今日は、その夢をみなかった。かわりに、夜の海の夢を見た。星のない空の底にくろぐろと潮が盛り上がり、うねっている。海鳴りがきこえる。わたしはいつまでもそこにいる。くろぐろとうねる潮はわたしと、ひとつになる。海鳴りがきこえる。
わたしは目を覚ました。
生理がきていた。
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