小詩集・とどまる/岡部淳太郎
 



とどまる 4

心とは常に変化し
一瞬たりともとどまらないもの

だからこそここにとどまって
移り変る人や事物を見据えて

そして、歌う



とどまる 5

しずかな日
すべてがあるべきところに収まって
とどまっているように思える日

すべての流れも停滞も
ゆったりとした大きな
とどまりのような変化のなかに
あることを知る

有無。



とどまる 6

それから
ここから出て行ったものを見送り
ここにかつていたものたちを思い
自らはここにとどまって
すべての憂愁も煩悩も
空無の渦のなかに落ちていくことを知る
いまもまだ
ここを通りすぎていくものたちがあり
ここにつかのまとどまるものもあって
それから、




(二〇一七年九月)
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