空の波紋(第二稿)/服部 剛
ようになって久しい
見慣れた街の風景に
くたびれた、人影落ちる帰り道
大人の足は日々もつれている
長ズボンの内側に
うっすら残る傷の跡
幼き日とは違う「?」が
――深く 深く 碇(いかり)を下ろす
胸の奥の風景画
手をつなぐ母と子の住む
届きそうで、届かない場所へ
――碇を下ろす
今も時々僕の瞳は夜空の星に…滲みゆく
あの日の「ちちんぷいぷい」の呪文を
繰り返し、呟きながら
* * *
日々の人混みを抜けながら
いつのまに増殖していた
歪な形の「?」が詰まった鞄の
量れぬ重さを脇に抱えて
まれに夜の交差点で明滅する
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