恋昇り7「やさしい夢」/トビラ
「主様、これはなんですか?」
私はきいてみる。
「はなまき、説明しておやりなさい」
「はい」
はなまきさんはそう言って、説明をしてくれる。
「これは『拝樹の奏』」
「はいじゅのかなで?」
「はなまきさんは頷いて続ける。
「そうだな、シイラさんにわかりやすくいうと、宿才にあたると言ってもいいかもしれない」
「宿才?」
「シイラさんは、宿才者じゃない。それは、シイラさんが一番よくわかってるよね?」
私は黙って頷く。
私に特別な宿才はない。
私に特別な輝きはない。
「拝樹の奏がちゃんと働けば、擬似的な宿才としてシイラさんを助けてくれる。だから、シイラさんは擬似的な宿才者になっ
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