だったらrip it up/ホロウ・シカエルボク
た
仕掛けてくるかと思ったけれど
唾を吐くような顔をして行ってしまった
ヒットもせずにアウェイするやつらが増えたよな
きっと戦争を知らないんだ
国家間のことだけじゃない
自分と誰かや
自分と自分との戦争とかのことさ
広い公園のいちばん目立つ外灯の下で
長く薄いコートを着た男がオリジナルらしい歌をうたっている
自己顕示欲ほどには出来上がってはいなかった
声は
喉頭癌のニワトリみたいだったし
タクシーを捕まえて
自宅近くの公園の名前を言った
綺麗な白髪を短く刈ったマスクの爺さんは
面倒な注文を受けたシェフみたいに
やる気と嫌気を込めながらひとつ頷いた
この男と話をす
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