マツバギクの妖精/丘白月
 
月の光を一本づつ引き抜いて
花に差し込んでいく
毎晩少しづつ
月が沈むまで
造っては花壇に置いていく

星の光を束ねて大切に抱えて
花の魂を入れていく
夜空の真下で
星座を映して
朝日が太陽の影を造っていく

陽の光を真似てすべて開いて
やさしく迎えている
見る人すべてに
手を差し伸べて
マツバギクの妖精が飛んでいく

妖精の睫毛のように
花びらが風にゆれて
恋占いを誘いながら
散っていく桜を見る

これでもかと
花は手を広げている
妖精の大きな愛を知ってるから

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