レンギョウの妖精/丘白月
 
好きだった人の家
レンギョウの生け垣の向こうに
あなたの部屋が見える
いつも通り過ぎて
部屋の窓を見てた

また春が来て
レンギョウが私の想いを
まるで知っているように咲く
香りをいただいて
想いを落としていく

黄色くて長くて
鳥の羽根のように美しい
レンギョウの花

釣り鐘のような花の奥から
恥ずかしそうに
妖精が顔をのぞかせてる

レンギョウの色は
一年待った想いの色
生け垣を挟んで
あなたと目が合う
肩に花を乗せたあなたは妖精

戻る   Point(0)