原稿と花びら/AB(なかほど)
 
講堂前の桜が咲いても
読まれるべき人達へ
君の文章は届かずに散ってゆく

話すべきことも
聴かれるべきことも
触れるべきことも
抱きしめるべきことも
何もなく
散ってゆく

その花びらと
全ての何でも無くなってしまったものを
握りしめたこぶしは
空へ
握りしめたまま
空へ


弥生の笑顔も泣き顔もなく
講堂前の桜は散った

  
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