君の声/丘白月
 
君がいなくなってから
影ばかり追いかけてる
誰も居ない部屋で
帰ってくるはずもない
君の足音を探してる

網戸に残る去年の
タンポポの種

タンスにしまったままの
一度も着ていない洋服

春になったら一緒に歩くと言った
あの公園の桜のアーチ

もう一度だけでいいから
声が聞きたい

もう一度だけでいいから
手をつないで歩いて

池を埋め尽くす蓮の花を
綺麗だねと言って目をみて

君は一人で蓮を渡ってしまった
誰が迎えにきたというの

僕はもう春を待てない
誰と寄り添って歩けばいいの

終わりのない歌を繰り返し歌ってる
君の声が入って来るのを待っている

もう一度会いたい
もう忘れてしまっただろうか

蓮の花の上で待っていればいいの
それとも僕もいってしまおうか


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