スミレの妖精/丘白月
 
夜空の色をした
深い紫色のスミレ

蝶の羽根のように
まるく薄いスミレ

空に生まれた雪が
大地深く濾過されて

一つの季節をかけて
根のストローにとどく

春の日差しに輝いて
冬の墨絵に色が塗らていく

森の小さな窪みに
生まれたばかりのスミレ

ウサギが春の匂いを
スミレの花に見つける

森のあちこちから
スミレの声が聞こえる

冬に感謝を告げて
春に希望の喜びを伝える

スミレの花びらが空に
舞い上がっていく

蝶のようにゆっくりと
機を織るように風を慈しみ

スミレの妖精は
清らかな空気を飲んでいる

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