ミモザの妖精/丘白月
 
二階の屋根まで届く
ミモザの花が
風に小さく揺れ
春の香りを小径に並べて
猫を誘っている

遠い昔に塗られた白い壁
大正時代の洋館で
満月の夜に
女の子が妖精と一緒に
ミモザの種を植えた

黄色い雪が降り積もるように
桜より美しく咲き誇るミモザ

広い屋敷の庭の片隅にある
お墓にミモザが添えられ
親子が手を合わせたていた

お婆ちゃんの命日だもの
仲良しだった妖精さんも
きっとお祈りしてるよね

その夜
ミモザの妖精は
庭をすべて花で
埋め尽くした
太陽のように

昔の友だちが空から
見えるようにと



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