冬の散歩/丘白月
 
妖精は数えている
何度あの月が
私を越えていったか

金星だって知っている
夜明けに何度あの妖精が
枕元で涙を拭いてくれたか

あの頃は愛が生まれたばかりで
毎日が輝いていたから
数えきれないから

初めて逢った夏が
あっという間に秋になって
いつも二人一緒に歩いてた

今は逢えないくらい
遠い二人だけど
時計を止めて見つめ合う

雪混じりの砂浜で
古ぼけた船にウミネコが立って
じっと懐かしい目で私を見てる

寒くないかと
言い合って笑って
一人分の足跡がどこまでも残る

冬の金星がゆっくりと
背中からついて来る
妖精の羽根の音が聴こえる

もう大丈夫だよ
もう泣かないんだ
走るよ ついてくるかい

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