冬の散歩/丘白月
妖精は数えている
何度あの月が
私を越えていったか
金星だって知っている
夜明けに何度あの妖精が
枕元で涙を拭いてくれたか
あの頃は愛が生まれたばかりで
毎日が輝いていたから
数えきれないから
初めて逢った夏が
あっという間に秋になって
いつも二人一緒に歩いてた
今は逢えないくらい
遠い二人だけど
時計を止めて見つめ合う
雪混じりの砂浜で
古ぼけた船にウミネコが立って
じっと懐かしい目で私を見てる
寒くないかと
言い合って笑って
一人分の足跡がどこまでも残る
冬の金星がゆっくりと
背中からついて来る
妖精の羽根の音が聴こえる
もう大丈夫だよ
もう泣かないんだ
走るよ ついてくるかい
戻る 編 削 Point(1)