春風/はるな
 

春風が つよくふいても
なびかないで立っているのに
触ればそのぶん減っていく
きみの 強さと弱さ

  コンクリートと
  まぶしさ を
  並列に考える
  どうして永遠が
  無いって思うだろう?
  こまかくカットされたガラス、
  そのひとつひとつに光が入ると
  まるで世の中が本当みたいに
  浮き上がってくるんだよ

きょう
手のひらにのるくらいになった
きみに
どうしてもきっと触れてしまう
ぼくの弱さ

 右手と左手の
 どちらが鳴ったのか
 落とした花瓶が
 割れずに着地する確率
 事象はすべからく液体
 容れ物に即している
 あふれようと望みながら
 それなしでは保たれない

透明な君から
あふれてくる君たち、
溶けあっている君たちの
強さと弱さを
判別しない
ぼくの弱さ

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