シクラメンの妖精/丘白月
教室で指がふれただけ
あなたが渡す消しゴムが
上手く取れなかっただけ
初めての温もりが
一瞬で消えそうで
ポケットに手をしまいこんだ
夕日の差し込む長い廊下に
シクラメンの鉢が並んで
長く伸びた影が花を見てる
誰もいない廊下で声がする
花の妖精の歌が聞こえる
一緒に歌ってみた
ステンドグラスのように
窓ガラスが美しく陽を受けて
廊下を神聖な教会に変えていく
妖精の国へ迷い込んだみたい
シクラメンの妖精が
一緒に飛んで歌ってる
指にキスをしてくれた
優しく花びらのように
溶けそうなキスを
赤い糸を結んだよ
絶対切れない糸だから・・・
そう歌っていた
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