花びらの上の記憶/丘白月
なんて酷い人生
こんなことなら
生まれなければいいと
今日も部屋で一人泣いていた
ずっともっと昔
一人の男の子を好きになって
毎日いつか結婚すると信じてた
でもそんな夢も
高校へ行く頃には
全部忘れて
また違う人を好きになって
卒業して叶わない夢を
胸の奥に鍵をかけてしまったわ
やりたい仕事となりたい大人には
近づけなかった
本当に望んでいた幸せは
いつやって来るというの
一人部屋で泣いている
天井に窓に流れる歌に隠れて
居場所さえ消えそうで
でもあなたは昨日
そんな私を好きだと言った
私の昨日なんか知らなくてもいいと言った
全部知ってると言った
玄関のチャイムが鳴る
あなたは花を抱いて言った
誕生日に迎えに来てねって
約束だったよね
ずっと昔の約束
記憶が花びらの上で走り出す
あなたが言った
まだまだ人生なんて
何も始まっていないよ
今日から始めようかって
戻る 編 削 Point(1)