冬の交差点で/丘白月
 
あなたを見送った交差点で
お揃いで編んだ手袋を
私は見つめる

あなたはもう手袋など
どこかへ置いて
私のことも忘れているかしら

青い光が
一緒に歩いた海と空を見せる

黄色い光が
綺麗だねと言った菜の花を咲かせる

赤い光が
夏の花火の記憶を映してる

別れてから気づいても遅いよね
どんなにさがしても
見つからない心ってあるよね

あなたの雪を踏む音が
いつまでも耳から離れない
大きな靴だった背が高いから

耳もとで妖精が
逢わせてあげると言った
空耳だったかもしれない

似た背中が私の横をすり抜けて
横断歩道を渡っていく
涙が三色に光って流れる

車のライトに照らされて
手袋に編み込まれた
あなたのイニシャルが見えた


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