女王のネックレス/狸亭
 
ルや襤褸切れが張ってある

一日2ルピーで暮らしているのだと言う
女と子どもがやたらに多い
たちのぼる砂埃の中を走り回る幼子たちの歓声

広大なインドには九億の民が暮らしている
極端な富と 極端な貧とが 混在している
だからゼロの世界

日本人である僕などは どうしていいかわからない
夜毎女王のネックレスを眺め
昼は貧困の首飾りを見つめながら通りすぎて行く旅人は

見るということは何だ
見たということは何だ
僕は見る ただただ見るばかりで

飛行機に乗ってしまえば消えてゆく
女王のネックレスも
貧困のネックレスも。

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