甘いバターと春、或いは/みい
ぼるだけの呼吸は
つまる
月に浮かぶ少しのたましい
絶対に必要なのに要らないと思ったの
わたしの不規則な幸せに
あまりにも似合わない
あなたの笑った顔
あまりにも
綺麗で
つくられた、苦しみで良かった
ずっとそれで絡めた手と手の隙間を埋めて
そしてキスして
わたしはその苦しみを食べて
ずっとずっと死んだノクターンを求めてる
「死んだ、なんて語弊があるよ」
あなたは確かにそう言った
その優しい声はわたしの焼いたパンケーキを
ひょいと食べて
そこにはわたしが望んでいた
窓の光が、溶けたバターと消えていった
ただそれが
いちばん春に近かった
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