スイセンの妖精/丘白月
私は遠い遥か昔に
地中海を見下ろす
小高い丘で生まれた
満月が造った
白い光の絨毯の上
妖精が集まって
歌を風にのせてた
白い丘で私は生まれ
ナルシサスと呼ばれていた
ギリシャ神話の中で
月と星と風に
私は育てられた
長い葉も茎も
月と星と風に近づこうとして
伸びていった
ある夜に月の女神様が言った
どんなに背伸びをしても
天には届かないと
泣いてる私に
キスをしてくれた時
花びらに月の光が満ちてきた
魂の色が光だした
あの夜から
なんど生まれ変わったのか
今はスイセンと呼ばれている
花の色は満月のままで
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