虹をつかまえた猫/丘白月
海の見える小高い丘
小さな貝殻細工の
可愛い蛇口
潮風が染み付いたベンチから
ペンキの赤い欠片が
公園のあちこちに落ちて
砂と交じり合いながら
なにか言葉を探すように
花びらを作っては消えた
スケッチブックを抱えて
小学生のエリが
猫のポプラとふたり海を見てる
白く光る灯台から
遠い沖まで虹が落ちる
色鉛筆が滑りだす
スケッチブックの虹を
ポプラがじっと見て
もっと近くで見たいと言った
エリは指差して
あの虹を持って来たら
どんな願いも叶うと言った
ポプラは言う
こんど生まれ変わったら
人になりたいよと
ポプラは遠い記
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