セントポーリアの妖精/丘白月
うだねと
双子の妖精がつぶやく
綿のように生まれて
周りを明るくしながら
時間を積み重ねているよ
凍って溶けて
消えてしまうには
あまりにも早いとつぶやく
命の継ぎ足しを
この子にあげるのね
この子は愛を知ってるからね
双子の妖精が
自分の羽根を半分づつ抜いた
これで大丈夫だよ
一組の羽根が
女の子の胸に溶けてゆく
セントポーリアの香りが溶ける
双子の妖精は一つに
生まれ変わって飛んでいった
美しい羽根を神から頂いて
妖精には春の景色が見えた
セントポーリアを届けた子と
嬉しそうに桜を見ている様子が
戻る 編 削 Point(2)