セントポーリアの妖精/丘白月
 
うだねと
双子の妖精がつぶやく

綿のように生まれて
周りを明るくしながら
時間を積み重ねているよ

凍って溶けて
消えてしまうには
あまりにも早いとつぶやく

命の継ぎ足しを
この子にあげるのね
この子は愛を知ってるからね

双子の妖精が
自分の羽根を半分づつ抜いた
これで大丈夫だよ

一組の羽根が
女の子の胸に溶けてゆく
セントポーリアの香りが溶ける

双子の妖精は一つに
生まれ変わって飛んでいった
美しい羽根を神から頂いて

妖精には春の景色が見えた
セントポーリアを届けた子と
嬉しそうに桜を見ている様子が


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