くじびき(おめでとう、当選いたしました)/鳴神夭花
誰もいない場所で
本当は蹲っていたかった
踏切の音がしている
春の陽射しはあたたかくて
此処にいるのが可笑しいのに
誰も指摘はしてくれない
そういうものじゃあないよ
そういうものじゃあないんだよ
分かっていても目を開けられない
冬の音が恋しい
暴力的な雪の音で
全部かき消して欲しかった
何も残らないで
それが当たり前でしょう
冬が終わるなら
春が来るなら
夏に死んでしまいたい
このまま水に融けても良かったよ
誰も許してくれないけど
許されるようなものでもないけど
ああ
かみさまのきまぐれ
あきがくるまでまたなくちゃ
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