あなたは花だった/丘白月
あなたの名前が花びらのように
空を覆いつくすように散って
陽が透けて頬に差せば
私は妖精になって昇っていく
小さな幸運の光の中へ
秋祭りの金魚は
こんなに大きくなりました
今は金魚草と遊んでいます
太陽になるのはもうじきです
大きなオレンジ色の
部屋のあちこちに
あなたの息が座っています
名前を呼べばすり抜けて
恥ずかしそうにキスの想い出を
あの鉢植えに隠してしまう
フリージアが春を待ってます
あなたが可愛いねと言った花
私に似ているねと言った花
一緒に摘んだ庭に今年は
もうやって来ないあなた
いつか見たあの春の空
花びらを一枚目にあてて
太陽をみていたあの日
花言葉を教えてくれたあなた
愛した名前は枯れることなく
私に咲いていますいつまでも
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