春の目覚まし時計/丘白月
 

氷が一つ溶けもせず
小川を流れていく
朝日に照らされ
蒸気の煌きのなかに
妖精の輪郭が見える
淡い黄色の羽根
早咲きのすみれが岸に並ぶ
順番に落ちる雫の音は
春をつげる目覚まし時計
森の妖精は新しい季節を運ぶ

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