アンブレラストーリー/ミナト 螢
 
汚れた街を洗い流すような
雨、そして、歌
傘の中で開くコンサートが
信号機のライトに照らされて
レントゲンを撮っているみたい
真っ黒な肺に混ざる傘の骨
私はまだ本当に咲いてはいない
濡れた心を隠してくような
声、やがて、夢
クラッカーの爪で破った未来は
ビニール傘の窓を吹き飛ばし
誰かのポケットで雨宿りする
そこから拍手を引き出しても
私はまだカーテンコールを知らない
割れた瞳を望んでるような
光、または、朝
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