一年間/葉leaf
 
ぞれの本をいつまでも読み続けることで日々明かされていく人間というけだものは遠い。この一年間、二人で初めてすることは数限りなく、そのたびに記念日は擁立され二人だけのカレンダーが作り上げられた。個人史から二人史への移行に伴い、それでも残る個人史と、個人史と二人史のあわいに漂う一人半人史など多数の歴史がそれぞれに新しく流域を拓いていった。複雑に編み込まれていく日々に繰り返しなどなく、差異ばかりが確認されて人生はもはや未知なる渦状星雲である。一年目の記念日に向かい合って料理を食べながら、改めて明かされる過去の真相を前にして、そこにはまた別の真相があることを直覚しながら手探りの道は楽しく神々に満ちている。

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