バラ畑の記憶/丘白月
 
お別れです
そう言って
妖精は雪を纏って昇った

遠く聞こえてくるのは
凍りかけの香り
心臓の甘い香り

摘めよ
枯れる日は明日だから

摘めよ
私のすべてを

摘めよ
バラの妖精の記憶を

春になれば私の記憶は
このバラ畑に埋めてしまおう

いつかバラの子が見つけるから

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