鏡に写らない顔で微笑む/こたきひろし
 
何処の馬の骨か分からない男に寛容にはなれない
器の小さい男だから。

父親は色々な想像をしたり妄想をしたりする。
第一父親はまだ娘の彼氏と一度も会ってない

二人が何処かのファミレス辺りで食事するのはいい
ゆるせる
そのさいに
どちらか一方がスマホの画面に見やって、それが原因でお互いにいさかいが起こるのはいい。
だけど仲直りしてお互いの気持ちが高揚して店を出た後を想像するのはイヤだ。

男なんてオオカミなんだからさ
自分が紛れもなくそうだったからさ。

そう言えば父親はまだその事をしっかりと娘にいい聞かせてなかった。

そんな事口にしたら娘に言われるに違いないからさ。
「気持ち悪くなるよお父さん!」
想像の域なんだけど。
「そんな事知ってるよもう、私だって大人の女なんだから。だけど女って、羊のやさしさも欲しがるけれど、いつも羊じゃ嫌なの。オオカミに変身してもくれないとね。そうでしよお父さん」
なんて同意求められたら 答えが見つからなくなるだろうし。
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