部屋の中/消しゴム
 
悲しみとも孤独ともなんとも表現のつかないそれで、

  いっぱいになる。

  ついに、限界まで来たものが、目から零れ落ちて。

  体中なにかでいっぱいだったから、苦しくて、呼吸を繰り返した。


  やっと、ちょっとずつ、なにかが抜けていって、

  流れっぱなしのメロディと曲が耳につく。

  と、窓が開いたような気がして、みれば、孤独が、そろり、出て行くところだった。

  部屋が、常を取り戻していく中で、まだ何かを取り戻せていない私は、

  ただ、呆然とする。

  そして、


  孤独が出て行った。


  同時に携帯がなって、ボタンひとつで受話器を持ち上げれば。

  聞き慣れた声が「よかったね」と告げた。

  部屋は、完全に、平然といつもの色を取り戻していた。
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