201912第二週詩編/ただのみきや
 
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青空ではなく あおそら と
くちびるに纏わる
透けた胎児 月のように

発芽を奥ゆかしくも留め置いた
――エバの種

見上げる大気の透過した青
見下ろす海の反射した青

うつくしいあおい 
     あおいかなしみの

差し招く雪肌の陰影
冬に羽化する蝶が頬の熱を奪う

爽快に狂った少女の
名付けようもない青
折れたクレヨンの失くした青

やがて爆ぜ ホトから裏返る
すっぽり包むエバの芯まで青い嘘



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山から川沿いに下りて来て
日暮れたころ住宅地に出没する
犬連れの群も去りすっかり人気の絶えた公園で
あちこち嗅ぎ回
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