201912第二週詩編/ただのみきや
*
青空ではなく あおそら と
くちびるに纏わる
透けた胎児 月のように
発芽を奥ゆかしくも留め置いた
――エバの種
見上げる大気の透過した青
見下ろす海の反射した青
うつくしいあおい
あおいかなしみの
差し招く雪肌の陰影
冬に羽化する蝶が頬の熱を奪う
爽快に狂った少女の
名付けようもない青
折れたクレヨンの失くした青
やがて爆ぜ ホトから裏返る
すっぽり包むエバの芯まで青い嘘
**
山から川沿いに下りて来て
日暮れたころ住宅地に出没する
犬連れの群も去りすっかり人気の絶えた公園で
あちこち嗅ぎ回
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)