ぬえ/たこ
 
先だ

深い深い暗がりで
 小さな舌をチロチロさせて
  ひそかに、何を語るのか

無数に伸びる赤い襞
パチパチとひかる炎の白
きっとそれはぬえのことば
ぬえの叫び ―ぬえなのだ。

ぬえよ、夜明け前に焚かれる釜戸の火よ
小さな、小さな炎の子どもよ

つかの間に命を宿し
炎が孕む光と影の、
その狭間

永遠に夜明けを待ちながら
くりかえし
 ひそかに、輝いている

戻る   Point(2)