ぬえ/
たこ
先だ
深い深い暗がりで
小さな舌をチロチロさせて
ひそかに、何を語るのか
無数に伸びる赤い襞
パチパチとひかる炎の白
きっとそれはぬえのことば
ぬえの叫び ―ぬえなのだ。
ぬえよ、夜明け前に焚かれる釜戸の火よ
小さな、小さな炎の子どもよ
つかの間に命を宿し
炎が孕む光と影の、
その狭間
永遠に夜明けを待ちながら
くりかえし
ひそかに、輝いている
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