絵本/這 いずる
黒猫のシロが案内してくれた私の道が廃校につながってしまってシロはもう帰ってこなかった。猫の鳴き声がする。よくする。私の耳が拾う鳴き声がシロの声だと思う。夜道の真ん中で白い体を光らせて目を光らせてこっちをよく見ている。追いかけると逃げてしまう。街灯のスポットライトを浴びて白く光っているのが不満そうににゃんと鳴く。シロが案内してくれた廃校からトンネルにつながって、そこには出られない、ていう女の人が三人くらいいて、けれど私はトンネルの外を見た。彼女たちの家族は彼女たちの化粧品をもう捨ててしまっただろうか。口が赤かった。それが未練だった。トンネルからつながった遊園地で事故のあったジェットコースターに乗れと
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