ナイナイ 尽くせない/こたきひろし
シカトされていたから
新しい玩具を買って貰うと
男の子はそればかりに夢中になって遊んだ
夢中に遊びすぎたから
だんだんに冷めていって
そして厭きてしまった
厭きてしまうと
玩具の構造を知りたくなった
何で動くのかを
だから分解した
バラバラにしたら元に戻せなくなった
元に戻せなくなったから
放置した
ことはない
単純に
家は裕福とはかけ離れていた
玩具なんて買って貰っていなかったから
腕に時計なんてしたことがない
何を好んで
時間を腕に巻きつける
必要が
有るんだ
なんて思った訳でもない
ただ単純に
腕時計買うお金が
なかっただけ
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