林檎の詩/ミナト 螢
 
マフラーの幅を
広くするたびに
寒さが消えて
世界が歌うの

林檎に耳をつけると
逃げるから
丸噛りの芯を
重ねたまま
倒れなかったら
恋が叶うとか

希望の中に
ほんの少しだけ
絶望を混ぜて
おくのがいいの
林檎にも塩を
撒くでしょう

少女はみんな
傷つきたがってる
誰かが助けて
くれると思って

ひとくち目で
前歯が折れた
あの子の名前
なんて言うの
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